セネガル日記_職業見学_テイラー屋さん(洋服屋さん)

 

 研修が残り半分を切った今、沢山の現地の方と関わりや多くの経験をする中で詳しく調べたいと思うことができた。それは、セネガル人がどうして何ヶ国語も会話できるのかということだ。理由は、私の周囲のセネガル人は現地語とフランス語の基本2カ国は話すことができ、加えて異なる現地語、英語、スペイン語、ドイツ語、アラビア語など3カ国以上言語を話せる人が多い点にある。日本では小学生の頃から多くの人が英語の勉強を始める機会があるが、この差は一体なんなのだろうか、また現地語とフランス語だけならまだしも3ヶ国語以上話せる人が沢山いるのはどうしてだろうか、何か言語習得のコツがあるのではないかと外国語を学ぶのに苦戦している私は興味を持った。

 まずセネガル人が基本2ヶ国語を話せるという事実の前提には、セネガルはフランスの植民地化がされた歴史期があり、日々の教育、テレビやレストランなどのフランス語を使う機会が多いという環境的要因の影響は大きいと考える。また仮説として、島国とそうじゃない国とでは言語習得の差に違いはあると思うし、セネガルの現地語はアルファベットが入ってくる前(植民地化される前)は文字がなかったため、元々の言語脳の作りが文字に依存していないという違いが言語習得の差を出しているのかもしれない。確かに、セネガル人は言ったことを真似するのがとても上手だと感じる。これらの仮説については後ほど文献で調べる予定である。

 また、言語習得の基盤となる教育現場への見学、セネガル人がどの言語をどの場面で使用しているか知るためにホームステイや職業見学をして家の中と外での使用する言語の違いなども見て、日頃のコミュニケーションの様子を観察して、更に何ヶ国語も話せる理由を分析していきたいと思った。

 

 今回のテイラーさんへの1日職業見学もセネガル人がどの言語を使ってコミュニケーションをするのか見るために行った。家の目の前に住んでいる私のセネガルのお母さんのお店で、月曜日の朝の11時から夜の22時半くらいまでずっと働く様子を見学させてもらった。このセネガルのお母さんは私達をいつも温かく迎えてくれる方で、私が「1日職業体験をしたい」と相談した時も「来たい時はいつでもいらっしゃい」とすぐに承認してくれ、また職業見学中は朝ご飯から晩ご飯まで全て頂いた(お店に行く前からなんとなくご飯をいただく予感がしていたので、私はファティック州トゥーバクータのお土産とお菓子を持っていった)。このお店では、お店の奥のスペースで1人の男性のテイラーさんが服を作っていて、お店の手前のソファーでセネガルのお母さんがお客さんからの注文をもらう構図で、お店の両サイドには沢山の洋服が並んでいる。セネガルのお母さんは現地語とフランス語が話せるが、テイラーさんはフランス語が分からないため2人の会話は現地語でのみで、一方お客さんと話す時は現地語とフランス語を混ぜたり、外国人の方が来た場合はフランス語のみで接客していた。私は、テイラーさんが実はフランス語が話せないと知って驚いた。礼儀正しい人だし、これまでも何度もあった時は私のカタコトの現地語の会話に付き合ってくれていたので、わざわざフランス語を話さずに練習に付き合ってくれているのだと思っていたためだ。また、フランス語を読み書きできない人でも、話せる人は沢山いるのに、会話も初心者の私のフランス語よりも出来ないことがわかってまた驚いた。

 この職業経験をしながら、文字が読めずにウォロフ語しか話せない人の存在を何人か思い出した。私の住んでいる場所のガーディアンさんの1人、掃除をしてくれる女性、セネガル人の家の住み込みの家政婦さんたちなどだ。Googleセネガル人のフランス語の識字率を調べると56.3%とでてきた。セネガル人はもっと多い70%はいっているはずだというが、地方の人口も入れると実際はそれぐらいなのかもしれない。セネガル人は言語の習得率が高いと思っていたが、それは教育を受けた一部の人に限られたことかもしれない。これから教育現場の様子を見学する予定である。

 この職業体験では洋服の生地の種類を沢山知ることができ、また、セネガル人の温かさを改めて感じる機会になった。セネガルのお母さんと、お兄さんのテイラーさんに本当に感謝しています。

お世話になったテイラーさん

お昼ご飯にみんなで食べた「ドモダ」

お店に行くといつもいただくセネガルのお茶「アタヤ」